教育費で老後破産する家庭の共通点は?進学ルート別の目安と対策

子どもの教育費にお金をかけすぎたら、老後資金が不足しそう……

かといって、適切な教育費がいくらくらいなのか難しい。
子どもの教育費にお金をかけすぎると、老後破産につながるのではないかと不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
教育費の支出がピークを迎える時期は、老後資金の準備を本格化させたい40代後半から50代と重なる家庭は少なくありません。住宅ローンの返済が残っている家庭であれば、家計の余力はさらに小さくなるでしょう。
教育費の特性として、当初の計画よりも膨らみやすいことが挙げられます。教育費の予算上限額を先に決めておかないと、老後資金を圧迫して老後破産につながるのは考えられる話です。
本記事では、教育費で老後破産に陥る家庭の特徴を紹介したうえで、進学ルート別の費用目安と対策を解説します。
- 教育費で老後破産に陥る家庭の特徴
- 進学ルート別の教育費・老後資金の目安
- 教育費に使ってよい上限額の決め方
教育費の上限額を算出する方法がわかるようになっているので、ぜひご一読ください。

教育費のかけすぎが老後破産につながるといわれる理由

教育費のかけすぎが老後破産につながるといわれる背景には、支出額の増加と支払い時期の重なりがあります。具体的な理由を3つ解説します。
- 学校外活動費や仕送り額が年々増えているから
- 教育費のピークと老後資金準備の時期が重なるから
- 住宅ローンの返済期間と教育費の負担期が重なる家庭が多いから
家計のどこに負担が集中するのかを特定するための参考にしてください。
学校外活動費や仕送り額が年々増えているから
塾や習い事にかかる学校外活動費と、大学生への仕送り額はいずれも増加傾向にあり、家計の負担を押し上げています。文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、直近10年間における学習費総額に占める学校外活動費は公立小学校および公立中学校とも増加傾向にあります。
▼公立小学校
| 年度 | 学習費総額(万円) | 学校外活動費(万円) | 学校外活動費の割合(算出値) |
|---|---|---|---|
| 平成24年度 | 30.6 | 20.9 | 68.3% |
| 平成26年度 | 32.2 | 21.9 | 68.0% |
| 平成28年度 | 32.2 | 21.8 | 67.7% |
| 平成30年度 | 32.1 | 21.4 | 66.7% |
| 令和3年度 | 35.3 | 24.8 | 70.3% |
| 令和5年度 | 36.7 | 25.6 | 69.8% |
▼公立中学校
| 年度 | 学習費総額(万円) | 学校外活動費(万円) | 学校外活動費の割合(算出値) |
|---|---|---|---|
| 平成24年度 | 45.0 | 28.3 | 62.9% |
| 平成26年度 | 48.2 | 31.4 | 65.2% |
| 平成28年度 | 47.9 | 30.1 | 62.8% |
| 平成30年度 | 48.8 | 30.6 | 62.7% |
| 令和3年度 | 53.9 | 36.9 | 68.5% |
| 令和5年度 | 54.2 | 35.6 | 65.7% |
大学生が家庭から受け取る支援額も負担として重く、日本学生支援機構「令和6年度学生生活調査」では年103万円(月換算約86,000円)とのことです。前回の令和4年度調査の年110万円(月換算約91,000円)からはやや減少しているものの、これは奨学金やアルバイト収入で補う学生が増えたためで、家庭の負担自体が軽くなったとは言えません。
支出の水準が上がるほど、老後資金へ回せる金額は目減りしていくと言えます。
参照:結果の概要-令和5年度子供の学習費調査|文部科学省
参照:令和6年度学生生活調査・高等専門学校生生活調査・専門学校生生活調査|日本学生支援機構
教育費のピークと老後資金準備の時期が重なるから
教育費の支出がピークを迎える時期が、老後資金の準備を本格化させたい時期と重なることも、大きな要因といえます。子どもが高校や大学に進学するころには、親の年齢は多くの場合で40代後半から50代に差しかかります。30歳で第1子が生まれた家庭であれば、子どもが大学に入学する頃には48歳です。
役職定年が近い時期に、年間100万円を超える学費の支払いが始まるため、貯蓄へ回す余力が小さくなります。教育費のピークを迎える前に手を打てないと、退職金だけが老後の頼りになる家計になることも珍しくありません。
住宅ローンの返済期間と教育費の負担期が重なる家庭が多いから
住宅ローンを借り入れている場合、多くの家庭で教育費の負担期が重なり、資金繰りが一気に厳しくなります。30代から40代でマイホームを購入すると、返済期間の後半が子どもの進学時期と重なるためです。
実際に35歳で35年ローンを組んだ場合、完済時の年齢は70歳です。
子どもが大学生になる40代後半から50代前半には、住宅ローンと学費、老後資金の3つを同時に抱える状態になります。子どもが進学のために下宿するとなれば仕送りが発生し、手元にお金が残らない家庭も少なくありません。
住宅ローンを抱えている家庭ほど、3つの支出が重なる年をあらかじめ把握しておくことが重要です。
教育費で老後破産に陥る家庭に共通する特徴

教育費が原因で老後破産に陥る家庭には、支出の管理方法と家計の構造の両面で共通した傾向が見られます。具体的には、以下の3つです。
- 教育費の上限を決めていない家庭
- 住宅ローンの返済期間が長い家庭
- 世帯年収に占める教育費の割合が高い家庭
当てはまる項目があっても、すぐに破産に直結するわけではありません。早めに気づいて対策すれば立て直せる可能性は十分にあるため、参考にしてください。
教育費に上限を決めていない家庭
教育費の上限を決めないまま支出を続ける家庭は、老後資金の準備が後回しになる傾向があります。教育費が膨らみやすい事例として、子どもの希望や周囲の家庭に合わせて習い事や進学先を選ぶケースが挙げられます。
教育費の総額を先に把握していなければ、貯蓄に回すはずだった資金まで教育費に流れていきます。まずは、高校卒業までに必要になる金額を試算してみましょう。
住宅ローンの返済期間が長い家庭
住宅ローンの返済期間が長い家庭も、教育費による老後破産に注意が必要です。このタイプの家庭が老後破産に陥る要因は、老後資金を準備できないまま定年後も返済が残り、家計の逃げ場を失うためです。
教育費の支出が集中する40代後半から50代は、本来なら老後資金の積み増しを本格化させたい時期です。この時期に住宅ローンの返済も重なると、教育費と返済の両方に手取り収入を取られ、老後資金へ回す余力が生まれません。
子どもが大学に通う家庭の多くは、親が40代後半から50代くらいになっており、返済と学費の支払いが同時に発生する時期と重なります。
この間に老後資金を積み増せないまま定年を迎えると、退職金の多くをローンの一括返済に充てざるをえず、老後資金としてほとんど残りません。完済時期を教育費のピークより前倒しできるかどうかが、老後資金の逃げ場を残せるかどうかの分かれ目になるでしょう。
世帯年収に占める教育費の割合が高い家庭
世帯年収に占める教育費の割合が高い家庭ほど、老後資金に回せる余力は小さくなります。
日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査」によると、世帯年収に占める在学費用の割合は平均14.9%です。在学費用とは、小学校以上の学校に在学中の子どもにかける年間費用の見込み額のことです。
平均と比較して、年収200万円以上400万円未満の世帯では26.7%と高い水準にあります。年収350万円の家庭であれば、年間90万円以上が教育費に消える計算です。
| 世帯年収階層 | 令和2年度 | 令和3年度 |
|---|---|---|
| 200万円以上400万円未満 | 31.7% | 26.7% |
| 400万円以上600万円未満 | 20.8% | 21.1% |
| 600万円以上800万円未満 | 15.8% | 15.5% |
| 800万円以上 | 12.6% | 11.6% |
| 全体平均 | 15.9% | 14.9% |
目安として、在学費用の割合が2割を超えている場合は、教育費の計画を見直すことをおすすめします。
教育費・老後資金はそれぞれいくらかかる?目安を解説

老後破産を避けるためには、教育費と老後資金がいくら必要かを先に知っておくことが重要です。ここからは、それぞれにかかる費用を解説します。順番に見ていきましょう。
- 教育費
- 老後資金
教育費
教育費の総額は、進学ルートによって数百万円単位で変わります。文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校までの15年間をすべて公立で通った場合、総額は596万円です。一方で、すべて私立を選ぶと1,976万円まで膨らみます。
さらに、ここへ大学費用が上乗せされ国立大学へ進学したとしても総額で1,000万円超の金額になります。
| 進学ルート | 総額目安 |
|---|---|
| 幼稚園〜高校 オール公立(15年間) | 614万円 |
| 幼稚園〜高校 オール私立(15年間) | 1,969万円 |
| 進学ルート | 総額目安 |
|---|---|
| 大学 国立(入学〜卒業) | 481.2万円 |
| 大学 私立文系(入学〜卒業) | 689.8万円 |
| 大学 私立理系(入学〜卒業) | 821.6万円 |
自宅外から通う場合は、仕送りとして年間90万円前後が上乗せされるため、総額はさらに増えると考えなければなりません。
老後資金
老後資金は生活水準と年金額によって必要額が変わります。
総務省の家計調査をもとにした生命保険文化センターの集計では、高齢夫婦無職世帯の消費支出は月263,979円です。可処分所得は221,544円のため、毎月42,435円が不足します。
不足が30年続けば、単純計算で約1,500万円を貯蓄から取り崩さなければなりません。
| 区分 | 月額 |
|---|---|
| 実収入 | 254,395円 |
| 可処分所得 | 221,544円 |
| 消費支出 | 263,979円 |
| 不足額(可処分所得 − 消費支出) | ▲42,435円 |
老後生活に入ると、収入の中心は年金になります。年金額は人によって異なるので、ご自身の年金見込額をねんきんネットで確認してください。
参照:老後の生活費はどれくらい?|公益財団法人 生命保険文化センター
参照:ねんきんネット|日本年金機構
老後資金の計算については「老後資金の計算方法は?必要な要素と目安金額を解説」の記事で詳しく解説しています。将来のリスクを最小限にできるよう、平均寿命をはじめとしたあらゆる観点から説明しているので、参考にしてください。

教育費と老後資金を1枚のバランスシートで管理する考え方

老後資金が不足する原因のひとつが教育費にあります。将来の資金の流れを可視化するには、教育費と老後資金を1枚のバランスシートにまとめる方法が役立ちます。
具体的な手順は、以下のとおりです。
- 教育費・住宅ローン・老後資金を同時に可視化する
- 手取り収入から教育費の上限額を逆算する
家計の全体像が掴めれば、進学先の選択で迷う場面が減ることも期待できます。ぜひ参考にしてください。
1.教育費・住宅ローン・老後資金を同時に可視化する
教育費と住宅ローン、老後資金の3つを1枚の表にまとめると、負担が重なる時期がひと目でわかります。別々の家計簿で管理していると、どの年にいくら不足するのかを見落とす可能性があります。具体的には、縦軸を西暦、横軸を支出項目にした表を作ります。そこへ「2032年に長男の大学入学金80万円、住宅ローン年間120万円」と書き込んでいきます。
| 西暦 | 支出内容 |
|---|---|
| 2030年 | 住宅ローン120万円 |
| 2031年 | 住宅ローン120万円 |
| 2032年 | 長男 大学入学金80万円 住宅ローン120万円 |
| 2033年 | 住宅ローン120万円 |
| 2034年 | 次男 大学入学金90万円 住宅ローン120万円 |
エクセルや金融機関のライフプランシートを使えば、簡単に作成できます。
2.手取り収入から教育費の上限額を逆算する
手取り収入から老後資金と住宅ローンの必要額を先に差し引き、残った金額を教育費の上限に設定します。教育費を先に決めてしまうと、余った分しか老後資金に回らないためです。
例えば、手取り月40万円の家庭で老後資金の積立に月5万円、住宅ローンに月12万円を割り当てるとします。生活費に月15万円を確保すれば、教育費に使える金額は月8万円が上限です。
上限を先に決めておくと、進学先や習い事を選ぶときの判断基準になります。支出に迷ったときは、上限額を超えていないかを定期的に確認しましょう。
教育費に使ってよい金額の目安を決める方法

教育費に使う金額の目安は、老後資金と住宅ローンを確保したうえで、以下の順番で決めていきます。
- 老後資金の必要額を先に確保する
- 住宅ローンの残債と返済期間を把握する
- 残った金額から教育費の上限を決める
ひとつずつ解説します。
1.老後資金の必要額を先に確保する
教育費の上限を決める前に、老後資金として必要な金額を先に確保します。年金だけでは生活費をまかないきれない家庭が多いためです。
上述のとおり、平均的な世帯では老後資金は月4万円ほどが不足します。65歳から90歳までの25年間では、1,200万円の準備が必要になる計算です。受給できる年金額が少ない世帯であれば、用意すべき金額はさらに多くなります。
まずは、ねんきん定期便で年金見込額を確かめてみましょう。
2.住宅ローンの残債と返済期間を把握する
住宅ローンを利用している場合は残債と返済期間を把握し、毎月の返済額を固定費として家計に組み込みます。完済時期が定年後にずれ込むと、老後資金から返済分を差し引かなければなりません。
返済予定表を開き、以下の項目を書き出していきます。
- 残債と残りの返済回数
- 完済時のご自身の年齢
- 毎月と年間の返済額
- 繰上返済に回せる資金
- 完済が65歳を超えるようであれば、繰上返済で時期を前倒しできないか検討してみてください。
- また、これから住宅ローンを組むことを考えている方は、無理なく返済できる範囲で決めることが重要です。詳しくは「住宅ローンを無理なく返せる額はいくら?決める基準とスムーズに返済する方法を解説」の記事で解説しているので、こちらも参考にしてください。

3.残った金額から教育費の上限を決める
老後資金と住宅ローンの必要額を差し引き、残った金額を教育費の上限として設定します。年収や子どもの人数によって、教育費に使える金額は家庭ごとに変わるためです。
例えば、年間の手取りが500万円で、老後資金の積立に60万円、住宅ローンに144万円、生活費に180万円を充てるとします。教育費に回せる金額は年間116万円で、子どもが2人いれば1人あたり58万円が上限です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間の手取り | 500万円 |
| 老後資金の積立 | ▲60万円 |
| 住宅ローン | ▲144万円 |
| 生活費 | ▲180万円 |
| 教育費の残額 | ▲116万円 |
上限額はご自身の収入状況やライフスタイル、子どもの進学先などで大幅に変わるので、定期的な見直しが必要です。
教育費で老後資金を圧迫する事態を避けるためにできる工夫4選

教育費の総額は進学ルートの選び方で百万円単位で変わるため、意識しないと際限なく膨らむ可能性があります。教育費を抑えるために、以下4つの工夫が挙げられます。
- 公立と私立の選択を早めに検討
- 塾や習い事の優先順位づけ
- 自宅通学できる進学先の選択
- 公的制度の活用
子どもの進学を支えつつ、老後資金を削らないための参考にしてください。
1.公立と私立の選択を早めに検討する
公立と私立のどちらを選ぶかを早めに決めておくと、必要な貯蓄額を把握しやすくなります。文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校までの学習費総額は公立で614万円、私立で1,969万円です。15年間で約1,355万円もの差が生まれます。
中学から私立に進む場合は、小学校高学年の時期から受験塾の費用が加わることも考慮しなければなりません。子どもが小学校に入学する前に、家族で進路の候補を話し合っておきましょう。
ただし、公立を選んだ場合も部活動や塾の費用は別途必要になります。
2.塾や習い事の費用に優先順位をつける
塾や習い事に優先順位をつけると、学校外活動費の膨張を抑えられます。
文部科学省の調査では、公立の小中学校で学校外活動費が学習費総額の6割以上を占めています。すべての習い事を続けるほど、教育費全体が膨らんでいく構造です。
「受験に直結する塾を残し、ほかは進級のタイミングで整理する」といった優先順位をつけておくと、家計にメリハリが生まれます。子どもにとっても、習い事に集中しやすくなるでしょう。
優先順位をつける際は、子どもと相談しながら決めると、お互いに納得したうえで続けられます。
3.下宿より自宅通学を優先する
自宅から通える進学先を選択肢に入れると、下宿にかかる費用を抑えられます。日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」では、下宿する学生への仕送りは平均95.8万円とのことで、4年間では約383万円が学費とは別に出ていく計算です。
入居時の敷金や礼金、家具家電の購入費も加わり、初年度の負担はさらに重くなります。自宅通学であれば定期代の負担で済むため、差額をそのまま老後資金に回せます。
ただし、志望校が遠方にしかない場合は下宿にかかる費用を考慮しなければなりません。ご自身でまかなうのが困難な場合は、学生寮や奨学金の利用も検討しましょう。
4.公的制度を活用する
授業料の負担を軽くする公的制度を活用すると、家計から出ていく教育費を減らせます。教育費の軽減につながる公的制度は、以下のとおりです。
- 高等学校等就学支援金
- 多子世帯の大学授業料支援
- 日本学生支援機構の奨学金
- 日本政策金融公庫の教育ローン
「高等学校等就学支援金」は2026年4月より所得制限が撤廃され、多くのご家庭が対象となりました。このように、支給額や所得要件は改正されるため、進学の前年に文部科学省や自治体の窓口で最新の内容を確認してください。
参照:高校生等への修学支援|文部科学省
参照:学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度|文部科学省
教育資金と老後資金を並行して準備する方法

教育資金と老後資金は目的も使う時期も異なるため、制度を使い分けて積み立てると管理の手間が減ります。両方の資金を並行して進める方法は、以下の2つです。
- 新NISAで積立投資を始める
- iDeCoで老後資金を確保する
順番に解説します。
新NISAで積立投資を始める
新NISAは引き出しの制限がないため、教育資金と老後資金の両方の準備に使えます。つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円で、併用すると年360万円まで非課税で投資できます。非課税保有限度額は生涯で合計1,800万円です。
大学入学に合わせて一部を売却し、残りは老後資金として運用を続ける使い方もできます。ただし、NISAで運用する商品には値動きがあり、元本割れも起こりえます。
元本割れに備えて、NISAだけでなく現金もある程度は確保しておきましょう。
iDeCoで老後資金を確保する
iDeCoは60歳まで引き出せないため、老後資金だけを確実に残す積立に向いています。教育費が不足したときに取り崩せない代わりに、老後資金へ手をつけずに済むためです。
掛金は全額が所得控除の対象で、所得税と住民税の負担が軽くなります。拠出限度額は加入区分によって異なり、例えば企業年金のない会社員や専業主婦・主夫は年27.6万円が上限です。
なお、制度改正により2027年1月より拠出限度額が全体的に引き上げられます。
| 加入区分 | 拠出限度額(~2026年12月) | 拠出限度額(2027年1月以降) |
|---|---|---|
| 第1号被保険者(自営業者など) | 月額6.8万円(年額81.6万円) | 月額7.5万円(年額90万円) |
| 第2号被保険者(会社員・公務員など)のうち、勤務先に企業年金がない方 | 月額2.3万円(年額27.6万円) | 月額6.2万円(年額74.4万円) |
| 上記以外の会社員および公務員 | 月額2.0万円(年額24万円) | 月額6.2万円(年額74.4万円) |
| 第3号被保険者(専業主婦・主夫) | 月額2.3万円(年額27.6万円) | 月額2.3万円(年額27.6万円) |
| 第5号被保険者(60〜70歳未満の国民年金被保険者以外の方) | - | 月額6.2万円(年額74.4万円) |
参照:iDeCoの拠出限度額の引き上げにあわせてiDeCo掛金額変更をご希望の方へ、お手続きのご案内|iDeCo公式サイト
教育資金は新NISA、老後資金はiDeCoと分けておけば、双方の資金を分けて管理できるでしょう。
iDeCoの掛金は年1回変更でき、下限の月5,000円まで下げられます。基本的には上限まで拠出し、教育費のピーク時期には引き下げるといった調整をすると良いでしょう。
教育費と老後破産に関するよくある質問

教育費と老後破産をめぐり、多くの方が抱く疑問を3つに絞ってまとめました。
- 教育費を貯め始める時期
- 教育費と住宅ローンの優先順位
- 老後資金が足りない場合の対処
準備を進めるときの参考にしてください。
Q.教育費はいつから貯め始めるべきですか
今日からでも始めることをおすすめします。早めに始めるほど、進学までの積立期間を長く確保できるためです。将来的に子どもを持つことを考えている方であれば、独身のうちから用意するのが理想です。
毎月の給与から自動で振り替える先取り貯蓄にしておけば、生活費に紛れて使い込む心配がありません。児童手当をすべて教育資金用の口座へ移す方法なら、家計の負担を増やさずに積み立てられます。
新NISAのつみたて投資枠を併用すると、非課税で運用しながら準備を進められます。高校入学のタイミングになると、貯蓄を作る余裕が一気になくなるので、それまでが勝負と考えておきましょう。
Q.教育費と住宅ローンどちらを優先すべきですか
住宅ローンの返済額を先に固めるほうが、無理がありません。住宅ローンは20年以上続く固定費であり、あとから調整できる余地がほとんどないためです。
教育費は進学ルートや習い事の選び方で金額を動かせます。目安として、返済額を手取りの2割程度に抑えておくと、教育費のピーク時期にも家計が回ります。
すでに返済が重い場合は、借り換えや返済期間の見直しを金融機関に相談してみるとよいでしょう。
Q.老後資金が足りない場合はどうすればいいですか
収入を増やす方法と、資産を活用する方法の2つがあります。定年後も再雇用やパートで働き続ければ、資産の取り崩しや年金の受給を先送りできます。
年金の受給開始を繰り下げるのも効果的です。例えば、70歳まで繰り下げると受給額は42%増えます。
自宅を活用するリバースモーゲージやリースバックで資金を調達する方法もあります。生活が立ち行かなくなる前に、手を打つことが重要です。
教育費による老後破産を防ぐには「使ってよい上限額」を先に決める

教育費は進学ルートによって、数百万~2,000万円超もの差が出ます。何も決めないまま支出を続けると、老後資金に回すはずだった資金まで教育費に流れていきます。
老後破産を防ぐためには、老後資金と住宅ローンの必要額を先に確保し、残った金額を教育費の上限として決めておきましょう。とくに、住宅ローンの返済が定年後も残っている方は、返済計画を整えておくことが重要です。
教育費の上限を決めておけば、進学先や習い事を選ぶときの判断が容易になります。公立と私立の選択や自宅通学の検討、公的制度の活用も合わせて進めます。
教育資金は新NISA、老後資金はiDeCoと分けて積み立てると、教育費が老後資金を侵食する事態を避けられます。資金の状況を可視化するのであれば、住宅ローンと教育費、老後資金の3つを1枚の表に書き出すことが有効です。
将来設計に不安がある方は、ファイナンシャルプランナーの土田までご相談ください。実現したい教育プランや老後生活から逆算し、必要な資金計画をご提案いたします。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
